英語と日本語の肥溜め

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【読書録】失敗の本質 日本軍の組織論的研究 1章-3

ガダルカナル作戦-アメリカ水陸両用作戦ドクトリンの確立と帝国陸軍の敗北

ガダルカナルは太平洋ソロモン諸島の島の1つだ。パプアニューギニアやフィジー、オーストラリアといった国が比較的近い。 芸人の名前で覚えている人もいるかもしれない。 アメリカとオーストラリアの連携を寸断するため、帝国海軍はこの場所に飛行場の建設を進めていた。しかしアメリカ側の電撃的な攻撃により制圧され、奪還するために3回の攻撃を仕掛け、最終的に敗北した。   この戦いの敗因は以下だ。

  • 戦略的ビジョン・情報の不整合
  • 一次情報無視・机上の空論での作戦立案による戦力逐次投入

また、完全に軍事的なものとして、最寄り基地が遠く、補給もままならないという事情があった。食料が十分に届けられず、日本兵は餓死や病死で多く命を失うこととなったらしい。  

戦略的ビジョン・情報の不整合

ここまでの2つの作戦、および日本の地理を考えると、帝国陸軍ユーラシア大陸の中国、海軍が太平洋とその奥のアメリカに睨みを利かせるというのが大まかな形だったように思われる。 しかし、中央の作戦司令部は中国を潰すのが戦争を終らせる道と考え、基本的にはそちらに注力していたようだ。その証拠として、ガダルカナルに飛行場を作っていたことはほぼ知られていなかったらしい。 この場所に飛行場を作れば、オーストラリアの頭を押さえつける形になる。今で言えばハワイにミサイルを配備するようなものだろうか。つまり太平洋南部における要所のようなものだった。 にもかかわらずそれを十分に認知していないというのは、明らかに戦略レベルで認識の齟齬があったと考えていいと思う。しっかりと情報共有がされていれば防衛戦力を配備しておいたり、補給基地を作ったりもでき、奪われた飛行場をそのまま使われながら遠距離から小舟で輸送するなどという馬鹿げたことをする必要はなかっただろう。  

一次情報無視・机上の空論での作戦立案による戦力逐次投入

これはもはや大日本帝国軍の特徴としか言えない。現場の指揮官からの情報・具申を無視し、中央から一方的に作戦を伝え、反対すれば更迭する。現場の認識が正確でないため必要な戦力を投入できず、結果として複数回の逐次投入のかたちになり、損害を拡大させる。 とはいえその点海軍は、ミッドウェー作戦の例を見る限りでは優秀なように見える。中央との連携が良ければ大戦に負けることはなかったのかもしれない。いや、核には勝てないか・・・ 戦闘ケースに関してはもう1つ残っているが、多分次回もこれは出てくるだろうし、そのときはもう特にコメントしたいこともない。同盟相手だったドイツの防衛軍を見習っておけばよかったのではないかと思う。