英語と日本語の肥溜め

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【読書録】失敗の本質 日本軍の組織論的研究 1章-2

ミッドウェー作戦

ミッドウェー海戦としてもよく知られるこの戦いは、日本海軍がアリューシャン列島の基地を攻撃し、結果として相手空母3隻に対し、空母4隻を失う大敗を喫した。 結局これが当時最強の日本海軍の終わりの始まりとなったのだった。

ミッドウェー作戦の敗因

ミッドウェー作戦は偶発的要素の影響がかなり大きいようだった。しかし、それはおいてもやはり失敗を生み出したさまざまな要因はあったのだった。 今回は、

  • 情報収集力の不足・軽視
  • 指揮官のスタンスの違い
  • 艦隊編成の矛盾

があった。  

情報収集力の不足と軽視

これは先のノモンハンの戦闘においても見られたことだが、海軍もまた、情報収集において遅れを取っていた。   レーダーなどの技術力でそもそも負けていたそうだが、アメリカ軍が伏兵をしておいたのを気づけなかったし、さらに帝国側は無線傍受がせいぜいであったのに対し、アメリカ側は作戦書の暗号を解読し、奇襲の情報を日付も含めて事前に知っていたのだった。   レーダーの技術差によって、航空機は常にアメリカ側に先に探知され、さらに索敵の報告も帝国側はしっかりしたフローがなかった。  

指揮官のスタンスの違い

指揮官のスタンスには2つの違いがあった。 1つは作戦目的の共有、もう1つが戦闘時の行動だった。

 

帝国海軍最高司令官の山本五十六は、ミッドウェー作戦の目的をしっかりと共有しなかった。彼の真の目的は基地攻略により敵軍空母をおびき出しこれを撃破することであったが、司令や戦闘員にはこの意図は十分に浸透しておらず、結果として敵空母の出現可能性を大きく見誤った。 日本の大企業などでの目的が不明瞭な施策は最近でも指摘されることは多く、日本的組織の古くからの欠陥と言える。   一方アメリカ側のニミッツは、司令たちと一緒に生活するなどして思考傾向や価値観を浸透した。 また、作戦時に山本が主力を率いて移動していたのに対し、ニミッツはハワイから指揮を撮っていた。山本は結局海軍が空母を失った場面に居合わせなかった。  

艦隊編成の矛盾

これは先の作戦目的の共有に通じるものだが、山本の意図を理解しているものは軍上層部にも少なく、作戦意図に合った艦隊編成になっていなかった。 帝国軍の空母は攻撃力を追求し防御薄弱だったが、結局4隻すべて奇襲により戦闘不能となった。  

ミッドウェーの海軍は今の日本組織のバッドモデル

本質的にこれらの敗因は、全て今ある日本型の弱い組織に共通するものであると思う。 肥大化した組織の中で社長や役員と一般社員は必要以上に距離が遠く、上層部が考えていることがしっかり現場に理解・反映されにくい。 また、これにより計測不能であったり意図が不明瞭な施策が提案・実行されたりする。 加えて目標のズレによるリソース配分のムダも、おそらく結構ありそうに思える。