英語と日本語の肥溜め

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【読書録】失敗の本質 日本軍の組織論的研究 1章-1

この章はノモンハン事件という一連の戦闘に関するものでした。 満州国に兵力を振り分け統治する関東軍対、外モンゴルソ連の連合軍という構図です。 結果としては小競り合いの末敵軍の大攻勢を受け、1万8000ほどの兵力を失って敗北、停戦しました。 この章で指摘された問題点は以下です。

情報収集の不足

ソ連側は本国からも戦力を追加投入するなど、攻撃の準備を進めていました。 対して関東軍は敵陣警備の強力化もあって十分な敵情視察ができませんでした。 大攻勢の前にはソ連側は毎日偵察機を送っていましたが、関東軍は一切送りませんでした。 敵戦力を過小評価したこともあったでしょうが、そもそも満州の戦闘は過度に激化させず膠着を保つのが戦略レベルでの目標でもあったので、刺激するのを嫌った面もありそうです。  

戦力の不足

そもそも兵器面でソ連に遅れを取っていたようです。また、新兵部隊もいて練度もあまり高くなさそうです。 また、日本は第一次世界大戦に参加しなかったため、近代戦闘の常識を学ぶ機会がなかった。物量の重要性を理解しておらず、質で負けているのにも関わらず戦力を逐次投入するなど、愚策を行っていました。 おそらくランチェスターの法則も知らなかったのではないでしょうか。  

精神主義

現代日本にも受け継がれる悪名高き習慣でもある精神主義がやはり幅を利かせていたようです。 まず訓練の時点でも本番では精神力によって不利を覆すと言われていたらしく、停戦後の方針の中にも「精神威力の拡大」という意味のわからないものが含まれていたそうです。 もちろん士気などについて考えるのは必要なことですが、かといって自分たちに特有の先進的な力があると考えるのはおかしなことですよね・・・ また、関東軍上級士官は自害したりもして、失敗からの学習結果が受け継がれませんでした。これも精神論の弊害でしょう。  

中央司令部のコントロール不足

当時の中央司令部は、現場のことはできる限り現場に任せる方針だったようです。 これは素晴らしいことですね。当事者意識がどうのとか最近でもよく言われますが、問題を見つけた人がその場で対応するほうが、一度意見具申をするよりも解決は早くなります。 しかし司令部は関東軍との関係悪化を懸念して、指示を明確に伝えなかったようです。 歪曲表現を多用した結果本来の意図が理解されず、関東軍の独断専行を許しました。  

ノモンハン事件からわかること

つまるところ、 俺たちは雰囲気で戦争をしている ということではないでしょうか?   相手について調べぬまま、精神論にすがって楽観視するというのは、まさに理論から目をそらし感情論だけを重要視するのと同じです。 計算も何もなくやっているのなら、それは雰囲気でやっているのとそう変わらないのではないでしょうか。